便秘とは?
便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない」状態と定義されています。
便秘で悩んでいる方は多いですが、病院で治療している方は少ないです。
便秘といっても、お腹が張っている、残便感がある、排便時に腹痛がある、長期間排便がないなど症状は様々です。
一般的に女性に多いですが、加齢とともに男女比は同じくらいになります。
便秘になると?
便秘の方は大腸がんや心疾患、脳卒中を起こしやすく、予後にも影響を及ぼし快便の人の方が長生きするということも言われています。
慢性便秘症 診断基準
1. 便秘症 診断基準
以下の6項目のうち、2項目を満たす
- a. 排便の4分の1超の頻度で、強くいきむ必要がある
- b. 排便の4分の1超の頻度で、兎糞状便または硬便(BSFSでタイプ1か2)
- c. 排便の4分の1超の頻度で、残便感を感じる
- d. 排便の4分の1超の頻度で、直腸肛門の閉塞感や排便困難感がある
- e. 排便の4分の1超の頻度で、用手的な排便介助が必要である(摘便、会陰部圧迫など)
- f. 自発的な排便回数が、週に3回未満である
2. 慢性便秘症の診断基準
6ヶ月以上前から症状があり、最近3ヶ月間は上記基準を満たしている
このような症状があるかたは外来へ
・3日以上、排便がない
・排便後も残便感が残る
・便秘薬の量が増えた
・お腹の張りが強い
・便が硬い、コロコロしている
・便に血が混じっている
・市販薬を内服していて下痢状態が続く
上記のような症状がある場合は、まずは外来へお越しください。
便秘の原因
- 大腸がんや悪性腫瘍など、術後の癒着におる器質的便秘症
- 基礎疾患自体が原因(糖尿病、甲状腺機能低下症など)になる全身性疾患による便秘症
- 薬剤(抗精神病薬や痛み止め)による薬剤性便秘症
- 腸管の運動機能障害による便秘症
女性に便秘が多いのは、大きく3つの原因があると言われれています。
①筋力低下
男性に比べ、排便に必要な括約筋や腹筋の力が弱いため、腹筋が低下すると腸が重力で下方にさがり便秘になりやすくなリます。特に女性は骨盤が広いので、垂れ下がりやすいです。
②女性ホルモン
女性は月経や妊娠時にプロゲステロンというホルモンが多く分泌されます。このホルモンの作用で腸蠕動が抑制されて水分、塩分の吸収が促進されて便秘になりやすくなります。
③ダイエット
食事量が減ることで消化管の伸展や蠕動が低下することで便秘になります。
また、除外すべき原因として大腸がんがあります。
国際基準に基づいた慢性便秘の分類
検査方法
問診による検査
食生活や生活習慣、ストレスなどを問診でチェックします。
基礎疾患に便秘になるような病態(糖尿病、甲状腺機能低下症など)がないかどうか、内服薬があれば便秘の原因になっているものがないかを確認をします。
大腸内視鏡検査
便秘症をおこす最も重要な病気は大腸がんです。
血液検査での貧血や狭窄による便秘が疑われる場合は、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けたことがない方には、がんや大きいポリープがないかを内視鏡検査で確認するようにしています。場合によっては、便の貯留している領域を確認するためにレントゲンやCTで確認をします。
治療方法
①生活習慣改善
規則的な生活、食事を3食摂り、充分な水分摂取を心がけます(心臓や腎臓の病気なく、制限なければ1.5L程度が推奨されます)。適度な運動をする。
食物繊維は多くとるように心がけるのがよいですが、腸管の動きが低下しているタイプの便秘では余計に便秘になることがありますので注意が必要です。
②内服薬による治療
主に患者さんごとに以下薬剤を組み合わせて 症状改善をみていきます
・緩下剤
マグネシウム製剤(マグミット®)、ポリエチレングリコール製剤(モビコール®)、ルビプロストン(アミティーザ®)、リナクロチド(リンゼス®)、エロビキシバット(グーフィス®)
・刺激性下剤
センナ系(センノシド®、プルゼニド®、ヨーデル®など)、ピコスルファートナトリウム内用液(ラキソベロン®など)
・外用
レシカルボン坐薬、グリセリン浣腸液
・麻薬使用時の便秘
ナルメデジン(スインプロイク®)
・漢方薬
大黄甘草湯、大建中湯など
漢方薬や新規に発売されたような下剤など、患者さんに応じて必要な下剤は異なります。なかなか便秘がよくならないという方は是非一度、気軽にご相談ください。
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