胆石症とは?
胆石症とは肝臓で作られた胆汁を蓄えたり、腸へ輸送する胆管の内腔に石ができてさまざまな症状を引き起こす疾患の総称です。
石ができる部位によって、胆のう結石、総胆管結石、肝内胆管結石と呼び方が変わります。胆のう内にできる結石が多くを占めるため(約80%)、一般的には胆のう結石のことを胆石と呼んでいることが多いようです。
日本人は食生活の欧米化や高齢化により10人に1人が胆石を保持していると言われています。
症状
胆のう結石があっても必ず症状があるわけでわありません。
胆のう結石の約20~30%の人は無症状と言われています。しかし、半数以上の人は『胆道痛』と言われる特徴的な右肋骨下の痛みやみぞおちの痛み、右肩への放散痛があると言われています。この痛みの多くは食後に出ることが多いです。
また、皮膚が黄色くなる黄疸が出現することがあります。これは胆石により、胆道を通る胆汁の排泄がせき止められることにより起こります。本来、排泄されるべき胆汁の原料であるビリルビンという物質が血中へたまることで皮膚や眼球が黄色くなります。
このため胆道が結石により渋滞し炎症を起こすと胆のう炎、胆管炎となります。これに細菌感染を合併すると高熱や腹痛を引き起こします。重篤な場合には細菌が全身にまわる敗血症となり命に係わることがあります。
検査
腹部超音波検査、CT、MRI(MRCP;磁気共鳴胆管膵管造影検査)、EUS(超音波内視鏡検査)、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)などがあります。
いずれの検査でもまず、腹部超音波検査でまず指摘されることが多く、特に胆のう結石症の診断には有用です。腹部超音波検査は患者さんへの負担が少ないというメリットがあります。
しかし、これでは充分に診断ができないような場合は、MRCPやCT、内視鏡検査で診断します。
治療
胆のう結石があっても無症状であれば治療の必要はありません、定期的に経過観察を行います。
胆のう結石は腹痛がある場合は原則、手術適応となります。
胆のう結石症の手術
胆のう結石症の手術は胆のうをすべて摘出する手術になります。
全身麻酔による手術になります。炎症が高度な場合を除けば、最近はほとんどが腹腔鏡下での手術で行われています。このため、手術創も小さく体へのダメージが少ないため短期間での退院できるようになっています。
無症状でも…
無症状でも総胆管や、肝内胆管などの胆汁の通り道に石が胆のうから落ちている場合は急性胆管炎や急性膵炎などを発症して重症化するリスクがあるので治療が必要です。
まずは落ちている石を胃カメラで取り除いてから、胆のう摘出する手術をします。
15mm以下の純コレステロール結石は胆汁酸製剤(ウルソデオキシコール酸)での溶解効果が認められますが、再発が多く内服を継続する必要があります。
ESWL(体外衝撃波結石破砕療法)で胆石を砕く方法もありますが、適応は胆のう収縮能が正常で20mm以下の石灰化のない、単発のコレステロール結石と適応に縛りがあります。10年で約半数以上が再発します。
胆石症の予防
胆石症のリスクとして肥満、女性、急激な減量、妊娠回数などが言われています。
胆石は生活習慣と密接に関係しています。次のことに注意して生活するとよいと言われています。
- 規則正しい食事時間(胆のうを一日三回収縮させる)
- 高コレステロール食を避ける
- カロリー過剰摂取を避ける
- 魚をたくさん食べる
- 肥満にならない
- 急激な体重減少を避ける
- 高脂血症(中性脂肪)にならない
- 適度に運動する
- 胆石を作りやすい薬剤を避ける
- 妊娠後の女性は気をつける
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